2012年10月18日

かばん10月号(連作8首)


『かたすみさがし』

 ポストには空が届いていたのだと部屋を満たした空に伝える

 することがないわけじゃないらんちゅうはただ水底をつつきつづけて

 きんきんと苦しげに鳴く鍵盤を持ってピアノは正しいという

 冷静をよそおいながら片付ける花占いの花びらの死よ

 たちまちに蟻おしよせてある朝の死まで隠滅していくちから

 すずむしも鳴きだしている 夜だ おいてきぼりにされてしまった

 温もりをうたうコンビニの灯りにあつまって虫 虫はじけ逝く

 かたすみに居座っている猫の目が世界を閉じ込めてあくびする

(かばん2012年10月号掲載)

posted by 田中ましろ at 23:27| Comment(0) | TrackBack(0) | かばん掲載歌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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