2015年05月09日

かばん3月号「冬の微熱」(連作8首)


『冬の微熱』

 はじめてのはじめましてに戻れない扉を開くぼくらの強さ

 寒空の澄んだ重さよさらさらと枯れ葉を追えば地を這うばかり

 雪解けに音はなくその雪の死を語りつごうとする人もなく

 ブランコの冷えた鎖を軋ませて近づく/離れる占いのよう

 内側に火を纏うひと火を零すぽつりぽつりと口ひらくたび

 丸まった鳩を散らして君は行く冬の微熱のその真ん中を

 手に触れる手にそれは波それは花伝わらないよう伝える遊び

 明るめの近い未来を持ち寄ってそこにだけ春生み出している


(かばん2015年3月号掲載)
posted by 田中ましろ at 22:01| Comment(0) | TrackBack(0) | かばん掲載歌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。