2014年12月26日

かばん11月号「夏果て」(連作8首)


『夏果て』

 長月の浜辺へつづく林道に夏の名残を探して歩く

 おかえりと言うにはすこし早すぎるあなたの帰還にさわぐ海鳥

 白波を生む海風に滑らかな髪をひたすら梳かせる遊び

 堤防の茎のみじかい花のことあなたは語るその健気さを

 波打ち際は死に近いからいっせーのーで、でつないだ手を突き上げる

 海岸にふたりはひとつの点だろう空気の坂を飛行機が行く

 上昇気流 上昇気流 夏果ての雲の終わりに気付かないまま

 砂浜の砂が靴へと滑り込むように僕らは友達になる


(かばん2014年11月号掲載)

posted by 田中ましろ at 21:44| Comment(0) | TrackBack(0) | かばん掲載歌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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