2014年06月21日

かばん6月号「羽根の面影」(連作8首+12首)& WEBコンテンツ


『羽根の面影』

 空を見る癖がなおらず雨上がり両の腕(かいな)をひろげる少女

 背中には羽根の面影 触れるから気付けばすこし動かしてみて

 スカートは尻尾 ときおり風に揺れ遠近感を狂わせている

 花を見れば花を欲しがる猫として生きているあなたは美しい

 目に星を無数の星を宿らせてメテオストライク 夏の風

 空に近いところは人を微笑ます 行けガラス張りエレベーター二号機

 うす雲を切り裂きながら飛行機はあらたな雲を吐きだして飛ぶ

 夏空に白いペンキをぶちまけてあなたの夏の雲になりたい


(かばん2014年6月号掲載)


かばん6月号では
昨年上梓しました歌集「かたすみさがし」の特集を組んでいただいています。
・自選30首
・佐藤通雅さん、中島裕介さん、山田航さん、だいたひかるさん、陣崎草子さんによる評
・アンケートを元にしたインタビュー記事
・ましろ自身によるネット上の短歌イベント紹介記事
など、非常に充実した誌面でした。
こんな素敵な誌面を編集してくださった鳥栖さん、櫛木さん、
そして評をくださった皆様、本当にありがとうございました!

なお、自分で作った記事のおまけとして上記連作に12首加えた20首連作を
WEB技術により写真と半アニメーション化させた作品を制作しました。
こちらが本当の連作「羽根の面影」です。
ご覧いただけましたら幸いです。
http://www.kokoiru.com/para/


20首連作『羽根の面影』

 空を見る癖がなおらず雨上がり両の腕(かいな)をひろげる少女

 背中には羽根の面影 触れるから気付けばすこし動かしてみて

 たんたんと夢を切り貼りする仕事みたいに花を手折ってはこぶ

 スカートは尻尾 ときおり風に揺れ遠近感を狂わせている

 ウミネコの目が恐ろしい港湾にはろばろひびく波音と声

 ふわ、と空気が温められて浮き上がるそんな仕組みの幕開けだった

 五本しかない指であなたを捕らえても溢れるでしょうそのすき間から

 空に近いところは人を微笑ます 行けガラス張りエレベーター二号機

 ペットボトルに新緑まるく閉じ込めて夏の分子が滲むのを見る

 花を見れば花を欲しがる猫として生きているあなたは美しい

 まなざしは日差しより濃くまっすぐにsuch a little girl 夏のひと

 心臓を人に捧げる感覚を知ってるでしょう 手を差し伸べて

 目に星を無数の星を宿らせてメテオストライク 初夏の風

 光源は孤独のひとつ公園のひかりは木々に散り散りとなる

 うす雲を切り裂きながら飛行機はあらたな雲を吐きだして飛ぶ

 風に溶けた緑が服に染みついて全身夏になる僕たちは

 湿り気をしずかに湛え布地にはすべてを許す境界がある

 夏空に白いペンキをぶちまけてあなたの夏の雲になりたい

 走れ 夢をさんざに散らしつつ休息地までまっすぐな道

 つよい陰 いつか離れるだろう人 寂しいくせに笑ってしまう


(かばん2014年6月号特集記事おまけWEBコンテンツ)


posted by 田中ましろ at 22:55| Comment(0) | TrackBack(0) | かばん掲載歌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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