2014年04月20日

かばん3月号「叙情のためのエチュードY」(連作8首)


『叙情のためのエチュードY』

 マスクから溢れた息にお別れと祈りを告げてまた次の息

 春の匂いと冬の匂いを嗅ぎ分けよ鼻を寄せあう口実として

 奪いあう遊びのようにお互いの手を褒めあって明け方の街

 アスファルトに張りついている陽光を剥がして壜に詰めてもいいよ

 首すじに傷は結露のごとくありあなたは何も知らなくていい

 地雷原まっすぐ進むための目をみんなが持っています ひらいて

 カーブミラーはあくまでも佇むもので春をただしく映し出せない

 晩冬は早春と呼ぶことにする とかくあなたは早春の人


(かばん2014年3月号掲載)

posted by 田中ましろ at 22:19| Comment(0) | TrackBack(0) | かばん掲載歌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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