2014年03月04日

かばん2月号「叙情のためのエチュードX」(連作8首)


『叙情のためのエチュードX』

 ガラスごしあなたは顔を傾けて冬、と小さく口を尖らす

 ぬくもりだろうよろこびだろう冷えるほど会いたくなってしまうのは何故

 木枯らしを飼っているとは知らなくてごめん温め合ってしまった

 まなじりに風はゆっくり吹きだまりこちらジェンガのような日々です

 缶コーヒーが世界をすこし温めて死にゆく朝に見る春の夢

 えりあしの雪はあなたのためだけに降ってきた雪だからね 笑って

 雲がうすく伸ばされ消えるあんなふうにいなくなれたら幸せなのに

 電柱に根のないことの悲しみをあなたは歌にして口ずさむ



(かばん2014年2月号掲載) 


posted by 田中ましろ at 23:33| Comment(0) | TrackBack(0) | かばん掲載歌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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