2013年12月15日

かばん12月号「冬晴れを吸う」(連作8首)


『冬晴れを吸う』

 咲く前に花のうつくしさを言うような遊びかさねて三月はくる

 火を喰らうような夕暮れここからの景色を覚えておかなくてはな

 五線譜をちいさく揺らし来る風のひとつがお前 携帯がなる

 春雷のそのものとしてきみの言う痛みに疼く下腹部あたり

 この部屋の遠景として立つような励ましも届かない分娩台横

 声を出すものを命と呼ぶのなら微かに命 二分が過ぎる

 冬晴れを吸いこんだのだ仕方ない次第に赤みさしていく腕

 持ち込んだ詩集の終わりのびやかにお前は四肢を投げ出して泣く



(かばん2013年12月号掲載) 
posted by 田中ましろ at 23:36| Comment(0) | TrackBack(0) | かばん掲載歌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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