2013年08月15日

かばん8月号「夏の影」(連作8首)


『夏の影』

 木々を縫う風に晒され八月のなにものにも代えがたい衝動

 昼ひなか空に広がる流線を数えてきみの駆け足を追う

 笑えればいいってものじゃないけれど夏の影踏みあってほぐれる

 積乱雲は祈りのかたち示しつつ真夏ふたりに降る水しぶき

 転がって天地逆さになる午後に意味をもとめてしまわぬように

 頬骨を光らせながら駆けてきてそのまま抜けていくような人

 すぐ溶けるものにさよなら繰りかえし慣れていくんだろう別れにも

 屋上へ向かう階段ゆくような軽さよ きみのかばんが弾む



(かばん2013年8月号掲載)
posted by 田中ましろ at 16:52| Comment(0) | TrackBack(0) | かばん掲載歌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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