2013年02月17日

かばん2月号「叙情のためのエチュードU」(連作8首)


『叙情のためのエチュードU』

 硝子から染みこむ冬をたしかめて大げさに大げさに 来たよね

 犬になる 真冬の腕がのびてきて僕らはもう抗いようもなく

 ふゆぞらに向かって爆ぜる子供らの背にあざやかな光のおわり

 遺伝子のせいじゃないかな点滅を見たら駆けだす朝のひとびと

 グアテマラの雨を思ったうすけむり燻ぶるような駅前に出て

 新雪をためらわず踏むあなたには見えない朝のかたすみに立つ

 手遅れとわかってからが戦いの、ため息はなんと美しいのか

 逆立ちをしても落ちてはこないから空よそのまま生き続けなさい


(かばん2013年2月号掲載)

posted by 田中ましろ at 18:12| Comment(0) | TrackBack(0) | かばん掲載歌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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