2012年11月30日

題詠blog2012詠草一覧

詠草一覧を見やすいようにまとめておきます。
太字は自選10首。
今年は基調となる短歌をひとつ決めてその世界観ですべて詠んでいくつもりでした。
途中少しブレました(別の連作にしたものが混じってます)が基本路線はキープということで。

<基調短歌>
魔法などとっくに解けているはずのシンデレラから手紙がとどく [000:]

<詠草>
菜の花を自分のために茹でながら名もなき今日をあなたで満たす [001:今]
手を振っている(さようなら)隣国に降った初雪ほどの淡さで [002:隣]
夜ひとつください 雨を散りばめてそこにあなたを落としてあそぶ [003:散]
おやすみを言えないままに傷ついた果実じわりと香りたつ朝 [004:果]
机・椅子・あなたの順で点線にそって切りとる そこにひだまり [005:点]
手紙から湧き出たものは風化していつか時代と呼ばれるでしょう [006:時代]
針のないステープラーで噛みついて驚かしていたそのステープラー [007:驚]
消えていくものと知ってて掘り起こすシナプスの青 深い青色 [008:深]
句読点消してしまえばもう呪文めいて指先程度の契り [009:程]
指紋まみれのカードでもいい目覚めたらジョーカーのいない世界へ行こう [010:カード]
ルービックキューブ揃えてしまったら世界が終りそうな夕焼け [011:揃]
皺のないあなたの眉間おだやかに夏の希望を拒絶している [012:眉]
夢のなかあなたは光る逆鱗を剥いでξξまるでさよならみたい [013:逆]
教科書の偉人じゃ誰がいちばん好きなんて話題で暮れていく駅 [014:偉]
カーテンをくぐってやわらかくなった風 図書館が深海のよう [015:図書]
思いがけない雪に逢う∵∴あなたには引力という名の言い訳を [016:力]
従順なふりをしている犬として∽つむじ風にも耐えなくてはな [017:従]
えんぴつの先に止まっていた午後を希釈してこれからの話を [018:希]
似てるかよ そっくりな顔を並べて嘯くだけでもう春の夜 [019:そっくり]
忘れたらそれでおしまい劇薬の瓶のかたちのように座って [020:劇]
愛しなさいなんて指示されない夕べあなたがあなたのまま光りだす [021:示]
こうもりを捕まえてきて突然の指令さえつながりのひとつに [022:突然]
必要とされたい心 雨の日に欠けたカップもあなたでしたね [023:必]
とめどなく鳩のマークを描いていく玩具に飽きた夜のあなたは [024:玩]
いっさいを否定できない静寂のあなたに春は触れるなと言う [025:触]
最後って、いつも、そうだ、責めたてるシャワーを拭うこともなく立つ [026:シャワー]
逃げながらしかし損得は数えて癒えない傷にプライドを持つ [027:損]
ゆっくりと上下している頬骨のあなたの皮脂もすべて必然 [028:脂]
川沿いに座らないからゆるやかに変わる世界の音に気付くこともなく [029:座]
林檎など食べたくもないくせにすぐ買ってきてという敗北宣言 [030:敗]
知りたいのはここから先の僕たちのそれはもう大人としての価値  [031:大人]
まっさらな雪を踏みつつあなたから問い詰められるときの欲情 [032:詰]
滝つぼに足をさしいれ(愛ゆえに)ただ危ないと言われたかった [033:滝]
掃除機の音が聞こえたそのあとに朝はくるあなたの微笑みと [034:聞]
むしろ罪 やがては枯れてしまう花だから愛しているのでしょうか [035:むしろ]
冬にしてはぬるい日差しを右肩に受けて芽吹いてしまうのだろう [036:右]
甘噛みに必要な牙を見せあって猫のポーズであなたと過ごす [037:牙]
理想的恋人として適切な強さ・角度で抱きしめないと [038:的]
石ころに引かれて進むこどもたちと思ったらなんだ蹴っていたのか [039:蹴]
勉強を嫌いつつ机に向かう遺伝するものみな美しい [040:勉強]
かなしみの湧きだす場所か喫茶店いちばん奥の席に座れば [041:喫]
いっぽんと数えられない稲妻のあなたは嬉々として跳ねまわる [042:稲]
タイピング音に似ている雨の死をかさねて空は輝度をうしなう [043:輝]
止まったら止まったままの夢を見て あなたにドライフラワーを買う [044:ドライ]
ささやかな罰をあなたに用意して誕生日には薔薇を贈るよ [045:罰]
キッチンに金木犀は紛れこみ朝のあなたを最強にする [046:犀]
終わらない話をしたいふるさとはそれでも同じ色をしていて [047:ふるさと]
たたんだら集まる水にお別れを告げてあなたは謎めいていく [048:謎]
嫉妬とは気付かなかった部屋中に敷きつめられた手紙をひらく [049:敷]
眠いんじゃないと言いきり窓際に活路をさがす夜のあなたは [050:活]
囲われてしまいたかった水底に泡を吐きつづけている希望 [051:囲]
グッピーの世話をしている夕暮れに足りないものを列記していく [052:世話]
罪のないあくびを殺し渋滞に死ね、死ねってうつくしい口 [053:渋]
「どぶ川を越えるときにも武士のマネしたら許してあげてもいい」と [054:武]
大声で叫べばきっと立ち止まるだろう踏み切りまえにあなたは [055:きっと]
晩酌をふたりのためにする日にもちいさな棘が抜けないでいる [056:晩]
散ることは運命という手のひらに紐解かれゆくわたしのおわり [057:紐]
結晶になるはずもなく空き瓶へ涙を落とすあなたのおわり [058:涙]
屋根裏に置いた貝殻たちばかり心配してはもう上の空 [059:貝]
凝りすぎた言葉はプレゼントではなく嫌味なんだと言えないでいる [060:プレゼント]
企みを裏切る強さ 浜辺ならお城が砂に戻るまで踏む [061:企]
純粋な善なのだろうあなたから地軸を歪めそうなひとこと [062:軸]
笑うなよ あんまり久しぶりだからあなたか夢か見分けられない [063:久しぶり]
神無月 おやつを奪い合いながら意志とはあなたを離さないこと [064:志]
騒ぎつかれて眠ってしまう酢醤油は邪道とそこは譲らないまま [065:酢]
自業自得だと認めずにひたすらに切らした息をととのえるひと [066:息]
連想をしていくうちに迷いこむ未来 鎖の次はさよなら [067:鎖]
耐えていたことが過ち いつからか巨大になったあなたを畳む [068:巨]
辛すぎたカレーのせいでいっさいのやる気が消えたことにするひと [069:カレー]
どこまでも負けず嫌いな性格の宴会芸に付き合っている [070:芸]
生きたって逃げ出したって籠のなか小さく洩れる光にすがる [071:籠]
汚れたら汚れたままで愛されて出口は狭くなってしまった [072:狭]
開いたら二度ともとには戻せない書庫に眠っている物語 [073:庫]
連絡は事務的にすぎ無精ひげだらけになった顎を眺める  [074:無精]
平熱に溶けゆく氷いつだってあなたは恋のうしろを歩き [075:溶]
乱暴につかんだ桃は頼りなく壊れることは悟ることだと [076:桃]
冬道を転がるときにうつくしい音を全身から放つひと [077:転]
家じゅうを捜査範囲に指定してあなたが追った卵のゆくえ [078:査]
オリオンのそばの銀河は熱を帯びどうしてここにいるのかと問う [079:帯]
たわむれている間にも抜け目ないふたりはエスカレーターのうえ [080:たわむれ]
瘡蓋をはがせば秋が香りたつように開いた傷口の赤 [081:秋]
すこしだけ怖い眼をした苔のうえふたりは湿り気を帯びていく [082:苔]
かまってと言わないままに邪魔をして怒ると笑う、笑うと怒る [083:邪]
夢はなにって聞けばいつでもきらきらの大西洋をわたる鳥たち [084:西洋]
さみしさをなぜ背負うのと亀に問い甲羅をそっと撫でているひと [085:甲]
片方の腕を差しだしあなたからこぼれるお告げを拾って暮らす [086:片]
むずかしいことは言わないようにしてチャンスと言えば目を輝かす [087:チャンス]
花畑みたいだねって画用紙のひとつひとつが訂正のあと [088:訂]
見た夢を覚えていないはじめから喪うために生まれたように [089:喪]
許されることを知ってて悪そうな舌をのぞかせている唇 [090:舌]
締まらない顔をあやまりふやふやと誕生日とは魔法の言葉 [091:締]
こたつからわたしを殺す狙撃手の目尻に隠しきれない童心 [092:童]
殺さないでいてほしいんだ 条件を揃えてやっと午後の踊り場 [093:条件]
音もなく負担となってゆっくりとあなたを海に沈めてしまう [094:担 ]
おだやかな週末もあり雨降りの音は樹木にしみこんでいく [095:樹]
いなくなるための準備をするように背伸びしながら窓を拭くひと [096:拭]
ジャンプして帽子を奪い得意げに尾を振っているあなたの背中 [097:尾]
激情を畳んでしまう場所がなく ごめん あなたに投げ捨てている [098:激]
着信音ひびくベンチに声はなくあなたは趣味をひとつ隠した [099:趣]
どうせなら無茶な話でさよならを千年先のあなたに幸を [100:先]

超即詠なので目も当てられない短歌も山ほどありますが平にご容赦を〜。
最後までお読みいただきありがとうございました!

田中ましろ


posted by 田中ましろ at 22:27| Comment(4) | TrackBack(0) | 題詠blog2012 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんにちは。
ラスト数日の追い上げ、すごかったですね。
お疲れさまでした。

わたしのブログで完走された方のお歌の中から
5首の選歌をさせていただいているのですが、
ましろさんの100首からも
選ばせていただいていいでしょうか。

ご検討をよろしくお願いします。
Posted by 白亜 at 2012年12月01日 14:36
白亜さん

こんばんはー!
もうダメかと思ってたんですが
去年完走できなかったのが悔しくて頑張っちゃいました。

5首選歌、うれしいです。
ぜひぜひよろしくお願いします!!
Posted by 田中ましろ at 2012年12月02日 23:48
こんばんは。
遅くなりましたが、選んだ5首についての記事を投稿いたしました。

印象の強いお歌が多くて、選ぶのは
なかなか迷いました・・・・。
平易なことばを使いながらも
鮮やかな世界を描けるのが、ましろさんの
歌の特長なんだろうな、と再確認しました。

今回はありがとうございました。
Posted by 白亜 at 2012年12月29日 20:26
白亜さん

お返事遅くなってすみません!!
ブログ、確認してまいりました〜!
1首ずつに丁寧な感想をありがとうございました。

僕の世界…あまり意識はしたことないんですが
言われてみるとそういうことなのかもしれませんね。
これからはちょっとは意識して詠んでみようと思います。

まずは御礼まで。
こちらこそありがとうございました!!
Posted by 田中ましろ at 2013年01月05日 02:20
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