2012年11月19日

かばん11月号(連作8首)


『はるか草原』

 手のひらはつないだ日から中心になってふたたびはるか草原

 早足に行く人たちの生み出した渦に居場所を見つけてしまう

 ビル街に人知れず在る椅子ひとつ減って椅子取りゲームはつづく

 おしなべて街は秋雨 逃げ道をうしなうことが生きることだと

 手を振ったあとに出くわす夕暮れに肯定されて立つ交叉点

 いざというときは名前を呼べばいいそのために名を付けたのだから

 パンの耳パンの耳パンの耳パンの耳 しあわせの白い大地よ

 探しもの見つけたように秋のあさ書架の隙間に手を差し入れる

(かばん2012年11月号掲載)

posted by 田中ましろ at 22:06| Comment(0) | TrackBack(0) | かばん掲載歌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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